2011年3月6日日曜日

「外国人」の政治献金を禁止するとはいうが・・・


 前原外務大臣が中学校時代からの知人だという在日韓国人の焼き肉店経営者から政治資金を受けていたことが、政治資金規正法に違反するといって、メディアは進退問題だと大騒ぎしている。国会質問で詰問する自民党議員は、まるでゾルゲ事件を追及する特高検事を彷彿とさせ気味が悪かった。
 しかし、頭を冷やして考えるべきだろう。外国人から献金を受け取ったとはいうが、献金者は在日コリアンだ。かれらの大半は、戦前から何代にも亘って日本に定住し、かつてはれっきとした日本国籍を持っていた日本国民だったが、戦後、一方的に日本国籍を剥奪された人々とその子孫なのだ。日本生まれの日本育ち、もしアメリカやフランスで生まれていたなら、当然、自国民としての市民権(国籍)を取得しているのである。政治資金規正法の外国人献金禁止規定の本来の趣旨からみれば、問題はきわめて限定的なはずだ。
 それにしても、「外国人」を排除するという日本の偏狭さは、ほとんど病的だ。
 ごく最近まで、空港の入国管理ゲートには、「外国籍パスポート保持者」を「エイリアン」と表記していた。「外国人」という言葉を聞いただけで、魔物に遭遇したかのように、恐怖を感じ、身構える。こういう言語感覚のゆがみに無感覚のまま、政治資金規正法を作り、その違反者として前原を、鬼の首を取ったように追及する。その異常さに、気づくべきなのだ。
 しかし、前原自身、そういう言語感覚を利用し、愛国者の顔を売り物にしてきたのではなかったか。今回の出来事で、日頃の自分自身の危険な言葉遣いが、いかにヒステリックで不毛な事態を生じさせてしまうか、前原自身も、冷静に反省してみるべきだろう。

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