2010年5月22日土曜日

変貌する京都の中心市街地


 蒸し暑い梅雨の季節がそこまできている。
 昨日は、京都の大学で講義をしてから、烏丸丸太町界隈で飲んでから帰宅した。
 地下鉄丸太町駅から地上に出ると、京都商工会議所のビルの一階はカフェになっていて、美味しいアールグレーをポットで飲ませてくれる。そこでいつも大学同窓の悪友(本人は紳士だと自称しているのだが)と待ち合わせをして、近場の居酒屋に繰り出す。昨夜もそうだった。
 最近は、四条河原町界隈に出ないで、烏丸丸太町界隈で飲むことが多くなった。というのも、京都も、中心市街地は、もうまったく古都の風情はなくなってしまい、カラオケ、風俗、パチンコがところかまわず氾濫して、まるでススキノみたいになってしまったからだ。
 昔よく通っていたミューズというクラシック音楽喫茶店が木屋町にあったが、そこが焼き肉屋に変わってしまい、高瀬川ぞいにあった、凝ったカクテルを飲ませてくれるショットバーの錦は、もつ鍋屋になってしまい、洋書店 の丸善ビルは、ジャンカラのカラオケビルになってしまった。その周辺に虫食いのようにファッションヘルスの風俗店が進出して、黒服が客を引くようになっ た。
 不況なんだろう。高いテナント料を払えるのは、手っ取り早く稼げる風俗店だけなんだろうか。風俗店が進出すると、小路全体の雰囲気がどっと品が悪くなってしまい、せっかくそこに素敵なおばんざいを食べさせてくれるようなお店があっても、よりつく人はいなくなってしまう。
 悪貨は良貨を駆逐するというわけか。もう京都の中心市街地は、凋落の一途だと思う。雰囲気が殺伐として、荒廃していくのが止まらない。
 それを象徴するように、阪急百貨店の四条河原町からの撤退が決まった。撤退のニュースを聞いて、みんなびっくりしているが、わたしは驚かなかった。というのも、阪急百貨店の周辺の小路は、もうすでに風俗店ばかりになっていたから。
 そんなところで高級雑貨は売れない。
 今のところ、風俗店は鴨川を越えて祇園側までは進出していないようだ。しかし、川を越えるのは時間の問題だろう。そうなれば、歌舞伎の南座は、深刻なイメージ劣化を被るだろう。そのうち、移転するなんて話も出るのかも知れない。
 一方、丸太町や今出川界隈には、たくさん町屋が残っていて、その風情を生かしたレストランや料理屋、小物を売るショップが増えてきた。古い町屋 を上手に改造して、京都らしさを演出していて、なかなか楽しい。中心市街地が荒廃していくのと対照的に、歩いていても楽しい、新しい京都がこの界隈に生ま れつつあるように思う。
 地下鉄が京都駅から烏丸通りを北に延びたために、人の流れが、烏丸丸太町や烏丸今出川など北に向かいつつあるように思う。それに対して、旧中 心市街地の四条河原町界隈は、京都駅から直接アクセスできなくなった。かつては、祇園、木屋町、先斗町を後ろに控えて、阪急電車の終点として栄えた四条河 原町界隈は、世紀を超えた時点で、確実にその繁栄に終わりがきたように思う。
 千年の古都も激変しつつあるようだ。
(写真は商工会議所1階のワールドカフェ)

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